#8 前置詞(di/ke/dari含む)
レベル: 初級1
今日の題材
インドネシアの庶民の足といえばアンコット(angkot / angkutan kota)。都市内を決まったルートで走る乗り合いミニバスで、バス停がなくても手を挙げれば止まってくれます。運賃は数千ルピア(数十円)と格安。今回は、このアンコット文化を題材に、インドネシア語の前置詞(kata depan)を学びましょう。
例文
以下はアンコットの場面を想定した独自例文です。
1. Penumpang naik angkot di halte dan turun di depan pasar. (乗客は停留所でアンコットに乗り、市場の前で降りる。) 2. Angkot ini berangkat dari Terminal Cicaheum ke Terminal Ledeng. (このアンコットはチチャウム・ターミナルからレデン・ターミナルへ向かう。) 3. Sopir berbagi penghasilan dengan pemilik mobil. (運転手は車のオーナーと収入を分け合う。) 4. Tanpa angkot, banyak orang tidak bisa pergi ke tempat kerja. (アンコットがなければ、多くの人が職場に行けない。)
※ これらは筆者が作成した独自例文です。
文法の説明
ポイント1: 場所の前置詞3兄弟(di / ke / dari)
インドネシア語の場所に関する前置詞は、日本語の助詞「で・に・へ・から」に相当する3つを押さえれば基本はOKです。
| 前置詞 | 意味 | 日本語の助詞 | 例 |
|---|---|---|---|
| di | ~で、~に(場所) | で・に | di Jakarta(ジャカルタで) |
| ke | ~へ、~に(方向) | へ・に | ke sekolah(学校へ) |
| dari | ~から(起点) | から | dari rumah(家から) |
使い分けのコツ:
- di → 「どこにいる?」「どこでする?」→ 静止・動作の場所
- ke → 「どこへ行く?」→ 移動の方向・目的地
- dari → 「どこから来た?」→ 出発点・起点
dari A ke B(AからBへ)パターン:
移動を表すとき、「dari+出発地」と「ke+目的地」をセットで使います。
- Angkot ini dari Terminal Cicaheum ke Terminal Ledeng.
(このアンコットはチチャウム・ターミナルからレデン・ターミナルへ行く。)
- Saya naik angkot dari rumah ke kantor.
(私は家から会社までアンコットに乗る。)
- Berapa lama dari Bandung ke Jakarta?
(バンドンからジャカルタまでどのくらいかかりますか?)
ポイント2: その他の重要な前置詞
di / ke / dari 以外にも、日常会話で頻出する前置詞があります。
| 前置詞 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| dengan | ~と(一緒に)、~で(手段) | Saya pergi dengan teman.(友人と行く。) |
| untuk | ~のために | Ini untuk kamu.(これはあなたのためです。) |
| tanpa | ~なしで | Tanpa uang, tidak bisa naik angkot.(お金なしではアンコットに乗れない。) |
| tentang | ~について | Dia bicara tentang angkot.(彼はアンコットについて話した。) |
| oleh | ~によって(受動態で) | Angkot dikemudikan oleh sopir.(アンコットは運転手によって運転される。) |
dengan の2つの用法:
- 「~と一緒に」: Sopir berbagi penghasilan dengan pemilik mobil.(運転手はオーナーと収入を分け合う。)
- 「~で(手段・方法)」: Saya pergi ke kantor dengan angkot.(私はアンコットで会社に行く。)
- Penumpang duduk di dalam angkot.
- Turun di depan masjid, ya!
ポイント3: di+方向語(場所の詳細を表す)
di は方向を表す語と組み合わせることで、「~の上に」「~の中に」など細かい位置を表現できます。
| 表現 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| di atas | ~の上に | di atas meja(机の上に) |
| di bawah | ~の下に | di bawah kursi(椅子の下に) |
| di dalam | ~の中に | di dalam angkot(アンコットの中に) |
| di luar | ~の外に | di luar kota(市外に) |
| di depan | ~の前に | di depan pasar(市場の前に) |
| di belakang | ~の後ろに | di belakang sopir(運転手の後ろに) |
| di samping | ~の横に | di samping jalan(道路の横に) |
(乗客はアンコットの中に座っている。)
(モスクの前で降ります!)
基本単語
| 単語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| penumpang | 乗客 | Penumpang duduk di dalam angkot.(乗客はアンコットの中に座る。) |
| sopir | 運転手 | Sopir angkot bekerja setiap hari.(アンコットの運転手は毎日働く。) |
| halte | 停留所 | Saya menunggu di halte.(私は停留所で待つ。) |
| turun | 降りる | Saya mau turun di sini.(ここで降りたいです。) |
| naik | 乗る | Naik angkot lebih murah.(アンコットに乗る方が安い。) |
| penghasilan | 収入 | Penghasilan sopir tidak banyak.(運転手の収入は多くない。) |
| pemilik | 所有者、オーナー | Pemilik mobil tinggal di Bandung.(車のオーナーはバンドンに住んでいる。) |
応用単語
| 単語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| angkot (angkutan kota) | 乗り合いミニバス | Saya naik angkot ke pasar.(市場へアンコットで行く。) |
豆知識
アンコット(angkot)はインドネシアの都市部で広く見られる乗り合いミニバスです。決まったルートを走りますが、バス停以外の場所でも乗り降りできるのが特徴。降りたいときは「Kiri!(キリ!=左へ!)」と運転手に声をかけます。左側に寄せて止めてもらう合図です。運賃は距離に関係なく一律のことが多く、バンドンでは4,000〜5,000ルピア(約40〜50円)程度。しかし近年、GojekやGrabなどの配車アプリの普及により乗客が激減し、多くのアンコット路線が廃止や減便に追い込まれています。引用記事にもあるように、運転手の日収は約20万ルピアで、そこから車のオーナーに取り分を渡さなければならず、厳しい生活を送っている運転手も少なくありません。
この記事はインドネシアの文化・生活に関する話題を題材に、インドネシア語の文法を解説したものです。
📚 もっと深く学びたい方へ
「駅で待っています」は "di stasiun"?それとも "ke stasiun"?
場所の前置詞をマスターしたつもりでも、意外と迷うのが「時間」や「人」に対して使うときです。
「10時に」と言いたいとき、場所と同じように di を使っていませんか?
また、「上司に報告する」という方向を表すとき、場所と同じ ke で通じるのでしょうか?
実は、インドネシア語には場所には使わない「時と人を表す専用の前置詞」が存在します。
有料記事では、以下のステップアップコンテンツを解説します:
- di ではなく pada を使うべきシーン(時間と特定の対象)
- ke ではなく kepada を使うべき「相手」のルール
- 上級者が使い分ける dengan と secara(「~で」の深掘り)
前置詞の「使い分け」を完璧にして、不自然なインドネシア語を卒業しましょう!