#2 人称代名詞

レベル: 入門

文法(無料) 実践会話 🔒 メディア読解 🔒

今日の題材

インドネシア語には、日本語の「私」「あなた」に相当する人称代名詞が数多くあります。しかも、場面や相手との関係によって使い分けが必要で、実際の日常会話では代名詞の代わりに呼び名(Mas、Mbak、Pak、Buなど)を使うことのほうが圧倒的に多いのです。今回は、インドネシアの「呼び方文化」を題材に、人称代名詞の全体像を学びましょう。

!インドネシアのワロンでの会話



例文

以下はすべて独自例文です(実在の記事からの引用ではありません)。

1. Saya mau pesan nasi goreng satu, Mas. (私はナシゴレンを1つ注文したいです、マスさん。) 2. Kamu sudah makan, belum? (君、もうご飯食べた?) 3. Pak Budi mengajar bahasa Indonesia di universitas kami. (ブディ先生〔年上男性への敬称 Pak〕は私たちの大学でインドネシア語を教えています。) 4. Dia orang yang baik — kita semua suka dia. (彼/彼女はいい人だ。私たちみんな彼/彼女が好きだ。)

※ 例文中の yang は「〜するところの」という関係詞で、初級#20で詳しく学びます。ここでは文全体の意味をつかむことに集中してください。

文法の説明

ポイント1: 一人称(私・私たち)

インドネシア語の一人称は、フォーマル度によって使い分けます。

代名詞意味場面フォーマル度
sayaビジネス、目上の人、公式な場高い
aku友人、恋人、親しい間柄低い(親密)
gue / gua俺・私ジャカルタの若者言葉非常に低い(スラング)

kami と kita の違い(重要!)

代名詞意味聞き手を含むか
kami私たち含まない(排除的)
kita私たち含む(包括的)

例文(独自例文):

この kami/kita の区別は英語にもない、インドネシア語ならではの特徴です。


ポイント2: 二人称(あなた)

二人称は使い方を間違えると失礼になることがあるため、特に注意が必要です。

代名詞意味場面注意点
Andaあなた公式文書、広告、ニュース日常会話ではほぼ使わない
kamu友人、年下、子ども目上には失礼になる
kauお前非常に親しい間柄くだけた表現
lo / luお前ジャカルタのスラングgue とセットで使う

実は「あなた」と言わないのがインドネシア流!

日常会話では、二人称代名詞の代わりに敬称や呼び名を使うのが自然です。

呼び名対象使い方
Mas若い男性・兄食堂の店員、年上の男性など
Mbak若い女性・姉食堂の店員、年上の女性など
Pak年上の男性・既婚男性先生、上司、お父さん世代の男性
Bu (Ibu)年上の女性・既婚女性先生、上司、お母さん世代の女性

例文(独自例文):

「kamu」を目上の人や初対面の相手に使うと、見下しているように聞こえることがあります。迷ったら Mas/Mbak/Pak/Bu を使えば間違いありません。


ポイント3: 三人称(彼・彼女・彼ら)

代名詞意味場面
dia彼/彼女日常会話(最も一般的)
ia彼/彼女書き言葉・フォーマル
beliauあの方敬意を込めた表現(大統領、先生など)
mereka彼ら/彼女ら三人称複数

dia は性別を区別しない!

英語の he/she と違い、インドネシア語の dia は男女共通です。文脈で性別を判断します。

例文(独自例文):


※ 例文中の tapi(しかし)は接続詞で、テーマ#11で詳しく学びます。

基本単語

単語意味例文
pesan注文するSaya mau pesan kopi.(コーヒーを注文したいです。)
mengajar教えるPak guru mengajar matematika.(先生は数学を教えています。)
universitas大学Dia kuliah di universitas negeri.(彼は国立大学に通っています。)
orangOrang itu siapa?(あの人は誰ですか?)
baik良い・親切なMbak itu sangat baik.(あのお姉さんはとても親切です。)


応用単語

単語意味例文
bekerja sama協力するKita harus bekerja sama.(私たちは協力しなければなりません。)
mengerti理解するSaya tidak mengerti.(わかりません。)
dihormati尊敬されるBeliau dihormati oleh semua murid.(あの方は全生徒から尊敬されています。)


豆知識

インドネシアでは、初対面の相手にも家族のように呼びかけるのが一般的です。食堂で店員さんを呼ぶときは「Mas!」「Mbak!」、タクシーの運転手には「Pak!」と声をかけます。さらに、血縁関係がなくても年配の方を Om(おじさん)や Tante(おばさん)と呼ぶこともあります。これはオランダ語由来の呼び方で、特に華人系インドネシア人のコミュニティでよく使われますが、今では幅広く浸透しています。こうした呼び方は単なる敬称ではなく、「あなたは私にとって身内のような存在です」という親しみを込めた表現であり、インドネシア社会の温かさを象徴する文化といえるでしょう。


この記事はインドネシアの文化・生活に関する話題を題材に、インドネシア語の文法を解説したものです。


📚 もっと深く学びたい方へ

実は、ビジネスの場面で kamu を使ってしまうと、相手に失礼な印象を与えることがあります。では、初対面のインドネシア人ビジネスマンには何と呼びかけるのが正解でしょうか?

→ 有料記事「実践会話トレーニング」で、場面別の使い分けとビジネステンプレートを学べます。


← 前のテーマ入門コース一覧次のテーマ →