#18 di-接頭辞(受動態)
レベル: 初級2
今日の題材
今回の題材は、筆者の母校である UNISSULA(Universitas Islam Sultan Agung) です。UNISSULAは、中部ジャワ州スマラン市にあるイスラム系私立大学で、1962年に設立されました。医学部、工学部、法学部など多くの学部を擁する総合大学です。
筆者は1989年〜1995年にこのキャンパスで学びました。
今日はUNISSULAに関する話題を使って、di- 接頭辞(受動態) と -nya 接尾辞 を学んでいきましょう。
例文
まず、今日の文法ポイントを含む例文を見てみましょう。
Kampus Unissula dibangun di atas tanah wakaf. Gedung-gedungnya direnovasi setiap tahun agar mahasiswanya bisa belajar dengan nyaman.
日本語訳
「UNISSULAのキャンパスはワクフ(イスラム寄進)の土地の上に建てられた。学生たちが快適に学べるよう、建物は毎年改修されている。」
(独自例文 ― 筆者のUNISSULA在学経験に基づく)
文法のポイント:
- dibangun(建てられた)→ di- 接頭辞による受動態
- direnovasi(改修される)→ di- 接頭辞による受動態
- Gedung-gedungnya(その建物)→ -nya 接尾辞(所有)
- mahasiswanya(その学生たち)→ -nya 接尾辞(所有)
文法の説明
ポイント1: di- 接頭辞(受動態の基本)\n\nインドネシア語で 受動態 を作るには、動詞の語幹に di- を付けます。前回(#17)で学んだ me- 接頭辞が能動態を作るのに対し、di- は「〜される」という受動態を作ります。\n\n#### 能動態(me-)と受動態(di-)の対比\n\n| 語幹 | 能動態(me-) | 受動態(di-) | 意味 |\n|------|-------------|-------------|------|\n| bangun | membangun | dibangun | 建てる → 建てられる |\n| buat | membuat | dibuat | 作る → 作られる |\n| tulis | menulis | ditulis | 書く → 書かれる |\n| pakai | memakai | dipakai | 使う → 使われる |\n| guna(kan) | menggunakan | digunakan | 使用する → 使用される |\n| kirim | mengirim | dikirim | 送る → 送られる |\n\n#### 重要: p/t/s/k の子音復元\n\nme- 接頭辞では語幹の頭の p, t, s, k が消える(鼻音化する)ことを #16 で学びました。一方、di- 接頭辞ではこれらの子音はそのまま残ります。\n\n| 語幹 | me- 能動態 | di- 受動態 |\n|------|----------|----------|\n| pakai | memakai(pが消える) | dipakai(pが残る) |\n| tulis | menulis(tが消える) | ditulis(tが残る) |\n| simpan | menyimpan(sが消える) | disimpan(sが残る) |\n| kirim | mengirim(kが消える) | dikirim(kが残る) |\n\nつまり、di- は語幹をそのまま付けるだけ なので、me- よりもシンプルです。\n\n#### 例文\n\n| インドネシア語 | 日本語 |\n|--------------|--------|\n| Surat itu ditulis oleh mahasiswa. | その手紙は学生によって書かれた。 |\n| Kampus dibangun pada tahun 1962. | キャンパスは1962年に建てられた。 |\n| Buku ini dibaca oleh banyak orang. | この本は多くの人に読まれている。 |\n| Pintu ditutup pada jam 10 malam. | ドアは夜10時に閉められる。 |\n\n※ 受動態で行為者を示すときは oleh(〜によって)を使います。\n\n---\n\n### ポイント2: -nya との組み合わせ\n\ndi- 受動態の文では -nya がよく一緒に使われます。\n\n例文(独自例文):\n- Bukunya dibaca oleh adik saya. — その本は弟に読まれた。(-nya = その)\n- Makanannya sudah dimakan. — 料理はもう食べられた。(-nya = その)\n\n-nya の詳しい用法(所有・定冠詞・名詞化)は #14 で学びました。ここでは di- と -nya が一緒に使われるパターンだけ押さえましょう。\n\n---\n\n### ポイント3: 前置詞 di と接頭辞 di- の区別\n\nインドネシア語には 前置詞の di と 接頭辞の di- があり、見た目が似ているので注意が必要です。\n\n| 種類 | 書き方 | 意味 | 例 |\n|------|--------|------|----|\n| 前置詞 di | di + 場所(スペースあり) | 〜で、〜に(場所) | di kampus(キャンパスで) |\n| 接頭辞 di- | di + 動詞(スペースなし) | 〜される(受動態) | dibangun(建てられる) |\n\n#### 見分け方のコツ\n\n- di の後ろが場所・名詞 → 前置詞(di Semarang, di rumah, di atas)\n- di の後ろが動詞の語幹 → 接頭辞(dibangun, ditulis, digunakan)\n\n例文で比較:\n- Kampus dibangun di Semarang.(キャンパスはスマランに建てられた。)\n - dibangun = 接頭辞 di-(受動態)\n - di Semarang = 前置詞 di(場所)\n\n---
基本単語
| 単語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| kampus | キャンパス、大学 | Kampus Unissula ada di Semarang.(UNISSULAのキャンパスはスマランにある。) |
| tanah | 土地 | Harga tanah di kota sangat mahal.(市内の土地の値段はとても高い。) |
| mahasiswa | 大学生 | Mahasiswa Unissula belajar dengan giat.(UNISSULAの学生たちは熱心に学んでいる。) |
| wakaf | ワクフ(イスラム寄進) | Wakaf adalah bentuk sumbangan dalam Islam.(ワクフはイスラムにおける寄付の一形態である。) |
応用単語
| 単語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| membangun / dibangun | 建てる / 建てられる | Gedung baru dibangun tahun lalu.(新しい建物は去年建てられた。) |
| menggunakan / digunakan | 使用する / 使用される | Tanah itu digunakan untuk jalan.(その土地は道路に使用された。) |
| hibah | 寄贈、贈与 | Tanah ini diperoleh dari hibah.(この土地は寄贈で得られた。) |
| sodetan | 放水路、バイパス水路 | Sodetan dibuat untuk mengatasi banjir.(放水路は洪水対策のために作られた。) |
豆知識
インドネシアの大学制度
インドネシアの大学は大きく PTN(Perguruan Tinggi Negeri / 国立大学) と PTS(Perguruan Tinggi Swasta / 私立大学) に分かれます。UNISSULAは PTS(私立大学)に分類されます。
学位制度は S1(Sarjana / 学士)、S2(Magister / 修士)、S3(Doktor / 博士) の3段階です。S1 の取得には通常4年間かかりますが、実際には4年以上かかる学生も少なくありません。
大学の品質は BAN-PT(Badan Akreditasi Nasional Perguruan Tinggi / 国家高等教育認定機関) が評価しており、A(最優秀)、B(優秀)、C(良)のランクが付けられます。このアクレディタシ(akreditasi)は学生の就職活動にも影響するため、大学選びの重要な基準の一つとなっています。近年は「Unggul(卓越)」「Baik Sekali(非常に良い)」「Baik(良い)」という新しい評価区分も導入されています。
この記事はインドネシアの大学を題材に、インドネシア語の文法を解説したものです。
📚 もっと深く学びたい方へ
【もう迷わない】「di-」が使えない受動態があるって知っていますか?
今回の講座では「di- = 〜される」という基本を学びましたが、実はインドネシア語の受動態には「もう一つの形」が存在します。
「それは私によって書かれました」と言いたい時、Buku itu ditulis oleh saya と言うと、現地の人は少し違和感を覚えるかもしれません。なぜなら、主語が「私(saya)」や「あなた(Anda)」の時には、di- を使わない特別なルールがあるからです。
この「受動態の使い分け」こそが、不自然なインドネシア語を卒業し、ネイティブ級の表現力を手に入れるための最大の壁です。
有料記事では、
・1人称・2人称(私・あなた)が行為者の時の「特殊な受動態」
・by(〜によって)を意味する oleh を省略できるケースとできないケース
・日常会話で -nya が「the(その)」の代わりに使われる裏技的用法
を詳しく解説しています。
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