#17 meN-接頭辞(能動態)

レベル: 初級2

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今日の題材

今回の題材は、インドネシアを代表する料理「ナシゴレン(nasi goreng)」です。nasi は「ご飯」、goreng は「炒める」という意味で、直訳すると「炒めご飯」、つまりチャーハンのことです。インドネシアの屋台からレストランまで、どこでも食べられる国民食であり、2011年にはCNNの「世界で最もおいしい料理ランキング」で第2位に選ばれたこともあります。

今回はこのナシゴレンの調理をテーマに、インドネシア語の重要な文法「me- 接頭辞」を学びましょう。


例文

以下はすべて学習用に作成した独自例文です。

  1. Ibu memasak nasi goreng untuk makan malam.\
  2. (お母さんが夕食にナシゴレンを作る。)

    1. Adik memotong bawang merah dengan pisau.\
    2. (弟/妹が赤タマネギをナイフで切る。)

      1. Kita harus mencuci sayuran sebelum memasak.\
      2. (料理する前に野菜を洗わなければならない。)

        1. Ayah menyalakan kompor untuk menggoreng nasi.\
        2. (お父さんがご飯を炒めるためにコンロの火をつける。)

          1. Kakak mengaduk nasi goreng supaya tidak gosong.\
          2. (お兄さん/お姉さんが焦げないようにナシゴレンを混ぜる。)


文法の説明

ポイント1: me- 接頭辞の基本ルール

インドネシア語の動詞には、語根(kata dasar)に接頭辞 me- をつけて「能動態の動詞」を作るルールがあります。me- は語根の先頭の子音に応じて、以下のように形が変わります。

接頭辞語根の先頭例(語根 → 変化後)意味
me-l, m, n, r, w, y, ny, ngmasak → memasak料理する
mem-b, f, p*, vpotong → memotong切る
men-c, d, j, t*cuci → mencuci洗う
meny-s*saji → menyajikan供する(※-kanが必要)
meng-a, e, g, h, i, k*, o, u, khgoreng → menggoreng炒める
menge-1音節の語根lap → mengelap拭く

重要: p / t / s / k の脱落ルール

語根が p, t, s, k で始まる場合、接頭辞がつくとその子音が消えます(鼻音化)。

語根変化説明
potong(切る)mem~~p~~otong → memotongp が消える
tulis(書く)men~~t~~ulis → menulist が消える
sapu(掃く)meny~~s~~apu → menyapus が消える
kirim(送る)meng~~k~~irim → mengirimk が消える

覚え方は「P-T-S-K は消える」です。ただし外来語(例: transfer → mentransfer)では消えないこともあります。

上の独自例文を確認してみましょう。

ポイント2: 書き言葉 vs 日常会話

教科書やニュース記事では me- 接頭辞が正しく使われますが、日常会話では me- を省略するのが普通です。

書き言葉(正式)日常会話(くだけた表現)意味
Saya memasak nasi goreng.Saya masak nasi goreng.私はナシゴレンを作る。
Dia memotong bawang.Dia potong bawang.彼はタマネギを切る。
Tolong mengaduk nasinya.Tolong aduk nasinya.ご飯をかき混ぜてください。

日常会話で me- 接頭辞をつけると、少し堅い印象になります。新聞記事やスピーチでは接頭辞を省略しません。この講座では、どちらの場面で使うかを意識して学んでいきましょう。

ポイント3: me- 接頭辞と目的語の関係

me- 接頭辞がつく動詞の多くは他動詞(目的語をとる動詞)です。

能動態(me-)と受動態(di-)の関係:

能動態(me-)受動態(di-)意味
Ibu memasak nasi goreng.Nasi goreng dimasak oleh ibu.ナシゴレンはお母さんによって作られる。
Adik memotong bawang.Bawang dipotong oleh adik.タマネギは弟によって切られる。

能動態の me- を di- に変えるだけで受動態になります。di- は語根にそのままつけ、me- のような鼻音化は起きません(dipotong であって ~~dimotong~~ ではありません)。

受動態(di-)は #18 で詳しく扱いますので、ここでは「me- の対になるのが di-」とだけ覚えておいてください。


基本単語

インドネシア語意味例文
nasiご飯(炊いた米)Nasi sudah matang.(ご飯が炊けた。)
goreng炒める・揚げるAyam goreng(フライドチキン)
masak料理するIbu masak di dapur.(お母さんが台所で料理する。)
adukかき混ぜるAduk terus supaya rata.(均一になるようにずっと混ぜて。)
bawang merah赤タマネギ(エシャロット)Bawang merah harganya naik.(赤タマネギの値段が上がった。)
komporコンロ・ガスレンジNyalakan kompor dulu.(まずコンロをつけて。)


応用単語

インドネシア語意味例文
bakar(直火で)焼くIkan bakar(焼き魚)
panggang(オーブンで)焼く・ローストAyam panggang(ローストチキン)
potong切るPotong bawangnya kecil-kecil.(タマネギを細かく切って。)
kecapケチャップ(甘い醤油)Tambahkan kecap manis.(甘い醤油を加えて。)
bahan材料・食材Semua bahan sudah siap.(材料は全部揃った。)
kunci鍵・ポイントKecap adalah kunci nasi goreng.(ケチャップはナシゴレンのポイントだ。)


豆知識

!ワロン Pak Karmin

筆者の大学時代に通い詰めた、大学近くのワロン(食堂)Pak Karmin

ナシゴレンはインドネシアのどこで食べても「ハズレがない」と言われるほど、味が安定している料理です。その秘密は、味付けのベースがほぼ共通していること。ケチャップマニス(甘い醤油)、にんにく、赤タマネギ、唐辛子、そして塩。この基本の組み合わせさえ守れば、誰が作ってもそれなりにおいしくなるのです。

面白いのは、ナシゴレンが「前日の残りご飯」を使うのが定番だということ。インドネシアの家庭では、炊きたてのご飯よりも冷めたご飯のほうがパラパラに仕上がると考えられていて、朝食として前日の残りご飯でナシゴレンを作るのはごく日常的な光景です。

筆者も大学時代、ジャワ島スマランにある大学の近くのワロン(warung=庶民的な食堂)で、ほぼ毎日ナシゴレンを食べていました。1皿5,000ルピア(当時のレートで約50円)程度で、目玉焼きとクルプック(えびせん)がついてくるのがお決まり。注文するときは「Nasi goreng satu!(ナシゴレンひとつ!)」と言うだけ。me- 接頭辞なんて使いません。日常会話はそういうものです。


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